2024年10月11日

祝!ノーベル平和賞に日本被団協

ちょうどドキュメンタリー映画『いのちの音色』の制作をしていた時
しげ兄さんが速報を聞いて、編集室に飛び込んできました。

「日本被団協がノーベル平和賞受賞したよ!」

体中が急に熱くなって、涙があふれました。

伊藤直子さん!!岩佐幹三先生!!
天国から聞いてますか?!見てますか?!

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▲2015年 石川県金沢にて:アオギリにたくして上映と共に中村里美&伊藤茂利「いのちの音色」ライブでご一緒した時がお二人との最後の時間となってしまいました。

何度も何度もノミネートされながら
とうとう受賞!!

おめでとうございます!!
本当におめでとうございます。

嬉しいです。
本当に嬉しい!!

どんな時もあきらめることなく
平和をつくりだすために
核兵器廃絶を訴えながら
地道な活動されてきた皆様の姿から
どれほどたくさんのことを学ばせていただいたことでしょう。

たとえ世の中がどうあろうと
絶望することなく生きてこれたのは
被爆者の皆様と被爆者運動を支える皆様の存在があったからです。

核兵器の存在に象徴される物事の考え方を変えていかない限り
本当の人間らしい心豊かな社会をつくることは不可能です。

憎しみと報復の連鎖が広がる世界の中で
生き地獄を体験されたヒロシマ・ナガサキの被爆者の方々は
「自分と同じ苦しみを世界中の誰にもさせてはならない」と
そのために二度と思い出したくない体験を語り継いでくださいました。

すでにお亡くなりになっている
お世話になった方々のことが思い出され
涙が止まりませんでした。

原爆投下後、一番大変だってであろう時を生き延び
被爆者運動が始まってから今日までの長い道のりを
ずっと支え続けたたくさんの方々がおられたことと思います。

まだ事務所もあったかなかったかの頃から 事務局員として被爆者運動を支え、見守り、作り出してこられた故伊藤直子さんはじめ お世話になった被爆者の皆様、関係者の方々の喜ぶ顔が目に浮かび、涙があふれました。心より、本当におめでとうございます!!

12年前の2012年、初プロデュース映画『アオギリにたくして』制作の真っ只中にいた頃、生きるか死ぬかを考えるほど大変だった時に 今は亡き伊藤直子さんから頂いた応援メッセージを改めて読み返しながら、我々ににできる平和の種まきを続けていこうと 心に誓います。

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伊藤直子(被爆者中央相談所元相談員/日本被団協元事務局員)
「アオギリにたくして」への期待と被爆者


広島・長崎に投下された原子爆弾に被爆して被爆者健康手帳を所持する被爆者は、2012年3月末210,830人となっています。この数字は被爆者健康手帳所持者が一番多かった32年前の1980年の372,264人から16万人を超える被爆者が亡くなられたことを示しています。平均年齢が77.44歳となっています。

近年被爆者の高齢化が叫ばれていますが、実体験をした被爆者が年々加速的に亡くなっていかれているのが現実です。
被爆者の一番少ない秋田県の被爆者健康手帳所持者は38人です。病気のため体験を語れる被爆者が本当に少なくなっています。また、高齢化に伴って認知症で体験を語れなくなってもいます。これは全国的に共通していることです。それだけに生存する被爆者の被爆体験を継承することは、急ぐ必要があります。継承のかたちは様々なものがあると思います。

中村里美さんの企画・プロデュースによる「アオギリにたくして」は、中村さんが被爆者沼田鈴子さんの被爆体験と被爆者としての戦後66年の人生を「継承」して、沼田さんの核兵器廃絶の願いを世界に発信しようとするものです。1986年にアメリカで広島・長崎を伝えるネバーアゲインキャンペーンの第1期生となった中村さんは、出発前の準備の研修会で沼田さんと知り合ったということですが、多分彼女にとって初めての「被爆者」だったと思います。以来沼田さんがお亡くなりになられる直前まで親交を重ねられていました。

最近強く思うことですが、被爆者の体験は確かに深刻です。「かわいそうに」と同情しがちですが、深刻な体験を持つ被爆者たちの多くは元気だということです。それは病気をしたり、不安を抱きながらも67年生きてきたこと。自らの被爆体験を語ることで、小中学生などから感謝され、体験を語ることが生きがいとなっているからだと思います。悲しいこと、悔しいこと、苦しいことなどたくさんある中でも、被爆体験を語ることを通して、それが世界の平和につながっていること、目の前で子供たちが目を輝かせて聞いてくれることが喜びになっているのです。長く生きて、体験を語らなくてはとの思いが強くなっているようです。沼田さんもきっとそんな思いだったのではないでしょうか。沼田さんが原爆に抗うようになった姿は、たくさん被爆者に共通しています。被爆者の人間としての強さも見えてくると思います。「アオギリにたくして」が描く被爆者の戦後67年の人生を通して、核兵器廃絶への世論が、国際的なものになることを期待します。
 
伊藤直子(2012.12.25)
posted by ぷらっとハッピー日記 at 20:18| 東京 ☀| 映画『アオギリにたくして』・アオギリ祭り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする