9.11米国同時多発テロから23年…
一昨日の9月11日、部屋を片付けながら過去の新聞を整理していると、毎日新聞の中学生新聞に連載していた当時の記事が出てきました。(もうすでに発売されていませんが)アクアエンターテイメントの故吉田明子社長がつくってくださったLOVE&PEACEというシングルCDのことを思い出しながら、当時を振り返っていました。
2001年9月11日、テロリストに乗っ取られた2機の旅客機が、ニューヨークの世界貿易センタービルに突入し、2つのビルが倒壊していく映像がテレビニュースに流れた時の、あの時の衝撃は今も忘れることができません。別の1機がワシントンの国防総省に衝突し、さらにもう1機は乗客がハイジャックを阻止しようとしてペンシルベニア州郊外で墜落。
日本人24人を含む計2977人が犠牲になりました。亡くなった方々のご冥福を心より祈りながら、ご遺族や繋がりのある方々のお気持ちを考える時、辛く悲しくいたたまれない気持ちがこみ上げてきます。
そして同様に忘れることが出来ないのは、その翌月にアメリカ・イギリスなどによる軍事連合がアフガニスタンへの報復攻撃が始まり、愛と平和と正義の名の下に 罪のない多くの人々が傷つき亡くなっていくことを想像しただけで胸が張り裂けそうになりました。
憎しみの連鎖の渦に地球が飲み込まれ、暗闇に吸い込まれていくかのような衝撃を受けました。
あれから、23年…
あの日の衝撃と悲しみを伝える時、アメリカでは必ずと言っていいほど
「日本の真珠湾攻撃と同じぐらいの衝撃を我々は受けた」
という言葉が繰り返されます。
しかし、日本人が9.11を思う時
未来永劫言われ続けるであろうこの言葉への認識はほとんど感じられません。
アフガンへの報復攻撃が始まった時、ニュース映像を見ながら
「早くやってしまえ…」とつぶやいた家族の言葉を聞いて、心が凍りつく思いがしました。
日本各地への空襲、沖縄、広島や長崎のことを思いながら、いたたまれない気持ちになりました。
もがきながら突き動かされながら、小さな一個人であっても「平和のために出来ることって何だろう?」と考えながら… これまで私自身が闘い続けてきたものは、あの時に心の奥底に抱えてしまった 自分も含めた人間という存在への深い絶望感であり、絶対にくい止めたいとあの時に思った憎しみの連鎖への抵抗でもあったのであろうと思います。
何度となくギブアップしそうになりながら 今日までの日々を改めて振り返る時、少し微笑ましく ちょっと不思議な気持ちにもなります。
カラオケにさえ恥ずかしくて絶対に行けない私が 急に歌をつくり始めて、下手くそでも気にせず人前で歌い始めたり。引っ込み思案で人と話すことが苦手なのに、がんばって喋ってみたり。社長になんてなりたくないのに会社をつくったり。映画のことなんて全く知らないのに、ある日突然、大きな借金を背負ってでも製作しようと決意したり…。
被爆者の沼田鈴子さんが被爆アオギリに託した想いに、自らの平和への想いを重ねながら初めてつくった映画『アオギリにたくして』
痛みを伴う違いを認め合うことは時に難しく、話し合いで解決できないことが多々あろうとも、相互理解志向の対話を続けることの大切さと、誰もが人と人の心を繋ぐかけはしになれる存在であることを思いながらつくった第二作目のドキュメンタリー映画『かけはし』
特に初めての映画製作と上映活動では、個人にできる限界を超え 精神的にも肉体的にもギリギリの日々となりましたが、作品づくりを通してご縁をいただき出会った皆様との繋がりの中で 心の奥底にあった絶望感を乗り越え、生きるとはどういうことなのかを知ったように思います。
9.11追悼式の前日、アメリカでは米大統領選 候補者のハリス氏とトランプ氏による討論会が開催され(CNN世論調査ではハリス氏が63%、トランプ氏が37%)初のアフリカ系・アジア系、そして初の女性大統領を目指すカマラ・ハリス氏に軍配が上がりました。
人々の不安や不満 皮肉な考え方に付け入って分断や怒りやヘイトを煽るのではなく、
共感と思いやりによるしなやかな強さで新しい道を切り開こうとするカマラ・ハリス氏。
この討論会の結果が、必ずしも大統領選挙の勝敗となるものではありませんが、民主主義の根底に流れる価値観を大切にしながら、人類が目指すべき高みへと希望の力を広げ 戦争のない世界をつくっていってほしいと切に願います。