
小津安二郎監督の魂に導かれた作品と語るドイツのヴィム・ヴェンダース監督によって描かれた映画『PERFECT DAYS』。個人的には、私にとって「映画らしい映画!」と感じる作品でした。
観終わった後、なぜだか一番印象に残ったのは、役所広司さん演じる主人公の平山と僧侶が、お互いの存在を認識し合った後に無言で一礼を交わし合う、映画の中のストーリーにはあまり関係のない数秒のシーンでした。
私は音楽をほとんど何も聞かずに育ったので、主人公のカーステレオからカセットテープで流れてくる1960年〜1970年代の数々の名曲を初めて聴きましたが、そんな私であっても音楽と映像のコラボの素晴らしさが心に響きました。
The Animals-House of the Rising Sun
The Velvet Underground- Pale Blue Eyes
Otis Redding- (Sittin’On)The Dock of The Bay
Lou Reed- Perfect Day
Patti Smith- Redondo Beach
The Rolling Stones- (Walkin’Thru The)Sleepy City
金延幸子- 青い魚
Van Morrison- Brown Eyed Girl
The Kinks- Sunny Afternoon
Nina Simone-Feeling Good
ヴェンダース監督が選んだ珠玉の音楽。人生の中で、これらの曲との出会いを持っている観客の方々にとっては、きっと私が味わうことのない感動もあったのではないかと思う時、映画の世界の奥深さを感じます。
劇映画ではありますが、ドキュメンタリーのようにさえ見えてくるこの映画は、かなり綿密に計算し尽くされた監督の力量に十分に応えうる出演者とスタッフの皆さんが作り出した傑作であり、リスペクトを心から感じずにはいられません。
ラストシーンは、Nina SimoneさんのFeeling Goodの歌声と共に、日本の名優・役所広司さんのアップがロングで映し出されていきます。ヴェンダース監督が、音楽の力と俳優・役所広司さんに託す信頼の深さがより一層深い感動となり体全身に伝わってきました。

主人公・平山のモデルは、僧侶でもあった世界的な詩人でシンガー・ソングライターのレナード・コーエンさんで、ヴェンダース監督の友人でもあったことを後から知りました。2016年にご逝去されましたが、禅の修行僧だった頃には、毎日トイレ掃除をしていたそうです。
映画の中には流れていませんでしたが、『PERFECT DAYS』の全編を通して、寛容と多様性を感じるレナード・コーエンさんの世界的な名曲「ハレルヤ」が共に流れているかのような余韻に浸りながら… ステキな映画との出会いに感謝しています。
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