忖度のない笑いで 社会を風刺する芸人
松元ヒロさんのドキュメンタリー映画を先日鑑賞しました。
1983年に結成されたコミックバンド「笑パーティー」でベーシストを担当され、「お笑いスター誕生」という番組で優勝。解散後、89年に社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」の結成に参加され大活躍された松元ヒロさん。その後、ピン芸人となり、誰にも忖度することのない笑いを求めて、今も舞台に立ち続けておられます。
日本にもこんな芸人の方がおられるのだと嬉しくなります。社会風刺だとか右だとか左だとかも超えて、松元ヒロさんという方の人としての深い優しさとあたたかさから生み出されるユーモアのセンスと笑いは、世界の人々の心にも響くものだと感じます。
そもそも忖度とは、
自分なりに考えて、他人の気持をおしはかることで
決して悪いイメージの言葉ではありませんでしたが、
2017年の森友・加計学園問題のニュースがきっかけで
今ではネガティブなイメージで使われるようになりました。
2020年11月に発売された新明解国語辞典では
「忖度」について「特に立場が上の人の意向を推測し、
盲目的にそれに沿うように行動することの意で用いられる」
と新たな意味が付け加えられたそうです。
ドキュメンタリーから伝わる松元ヒロさんの姿に
相手の気持ちを考慮し配慮する優しさと
権力に屈することなく、悪い意味での忖度を絶対にしない強さを見ました。
そして、その魂こそ笑いをつくるうえでも
芸人として 人として 大切にすべき心ではないかと思います。
ドキュメンタリーの中で もう一つ驚いたことがあります。松元ヒロさんと初期の頃から活動を共にされてきた故 杉浦正士さんについて松元ヒロさんが語るシーンがありました。「ザ・ニュースペーパー」の元プロデューサーだった杉浦さんもまた、そこを辞めて、杉笑太郎として舞台に立たれていました。
杉浦正士さんは、私にとっても一つのきっかけを与えてくださった方でもありました。ある日、杉浦さんが、若い頃に私が執筆した「アメリカにだって伝えちゃえ」(汐文社)という本を読んでくださり、「里美っち!ライブの形でこれを伝えていくべきだよ!」とアドバイスをくださたことがきっかけとなり、歌と語りでヒロシマ・ナガサキを伝えるライブ活動をスタートしました。今も、ギタリストのしげ兄(伊藤茂利)さんと共にライブ活動を続けています。改めて杉浦さんに心より感謝致します。そして、いろんな皆さんとの出会いの中から、今の自分があることに感謝致します。
聴く側のインテリジェンスも問われる笑いの世界
忖度のない笑いを貫く松元ヒロさんを
天国から杉浦正士さんが応援している姿が目に浮かびます。
政治に限らず 忖度だらけの世の中で
それによって歪められ 傷ついている人々に
勇気を与えてくれる松元ヒロさんの笑いの世界。
今の日本のテレビの中にはあまり感じることのない
とても大切なものを感じます。
素敵なドキュメンタリーを
ありがとうございました。
近くの公園には
河津桜も咲き始め
春へと向かう季節に助けられながら
明日へと向かう力をいただいています。
私も、(悪い意味での)忖度のない人生を
これからも生きていきます。
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