2023年10月08日

あれから37年…久々の広島にて

広島の映画館「八丁座」にて
10月21日(土)夜7時より
ドキュメンタリー映画『かけはし』が上映されます。
先日、事前準備のため久々に広島入りしました。

変わりゆく広島の街を歩きながら
初めて訪れた37年前が
思い起こされ
月日の流れを感じました。

「戦争体験も被爆体験もない自分に、一体何が伝えられるだろう?」と模索し始めた1986年、当時22才だった私は、ワールド・フレンドシップ・センターの当時の館長ご夫妻のご自宅にホームステイさせていただきながら、たくさんの被爆者の方々との出会いをいただきました。

広島と長崎の被爆者の方々を
撮り続けておられた森下一徹さんの
写真集の中に登場される
富永初子さんのご自宅を訪ねると
胸のボタンを外して
乳がんで手術した傷口を私に見せながら
「左の乳房がないのよ」
と絞り出すように叫ばれたその声を
今も忘れません。

原爆擁護ホームに通いながら
被爆体験を聞かせていただいた日々。

自分の孫が何人いるのかも覚えていないけれど
8月6日の記憶だけは鮮明で、
あの日のことを事細かに語るおじいちゃん。

「あなたにはわからない。
この苦しみは絶対誰にもわからない」
と言い続けながら「原爆が憎い」「早く死にたい」と繰り返すおばあちゃん。

「生きていてよかった」と思える日まで、私は死ねない。
苦しみや失ったものの意味があるとすれば、
一人でも多くの人に体験を伝え、自分を今でも苦しめている核兵器を無くしたい」

被爆者の方々の体験を聞けば聞くほど
「体験のない私には伝えられない…」
と思えてくる日々でした。

当時、参加予定だった
ネバー・アゲイン・キャンペーンは、
単身渡米し1年間アメリカのご家庭にホームステイしながら
主に学校の歴史の授業や教会などで
日本文化紹介と共に原爆映画「にんげんをかえせ」や
アニメ「ピカドン」を上映しながら
被爆者のメッセージを伝える
日米協力による民間外交プロジェクトでした。

でも、知れば知るほど
「私にはできない」
という思いがつのり
参加するのはやめようと思い始めていた時、
「体験していないからこそ出来ることもある」
と言ってくださる被爆者の方と出会いました。

「憎むべきは戦争であって人ではない」
「ヒロシマ・ナガサキを繰り返さないために伝えてください」
そう言って背中を押してくださったのが
初プロデュース映画「アオギリにたくして」のモデルとなった被爆者の沼田鈴子さん、原爆乙女の一人として渡米された被爆者の山岡ミチコさんでした。

「あなたにはわからない」と繰り返す原爆擁護ホームのおばあちゃんのもとに通う中で、ある日おばあちゃんが「アメリカからあなたが帰ってくるまで待ってます」と言ってくださったことや、「被爆という極限状態の中でも韓国・朝鮮人被爆者に対して差別があったということを忘れないでいて欲しい」と厳しい口調でおっしゃった朝鮮人被爆者の方が、「重たいリュックを背負って行くんじゃなくて、一人でも友達をつくろうという気持ちで行ってらっしゃい」と優しく声をかけてくださったことなど、たくさんの出会いの中で、伝えていこうと心から思うようになっていきました。


あれから37年…

この37年間にも
何度も広島を訪れましたが
なぜか、今回の広島は特別でした。

若い頃お世話になった被爆者の方々がみんないなくなってしまった広島で、大きな歴史の流れの一地点に生きていていることを改めて感じながら…

私は本当に年をとったのだとも…つくづく感じました。

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仕事を終えて広島平和記念公園に行くと
お母さんの被爆アオギリが
いつもと変わらず
そこにいてくれて
広島を訪れる修学旅行生に囲まれていました。

過去と未来をつなぐ
今を生きる一人として
のこされた命の中で、
何をしていくべきか
改めて考えながら
東京への帰路につきました。
posted by ぷらっとハッピー日記 at 18:27| 東京 ☀| 映画『かけはし』 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする