現在制作中のドキュメンタリー映画『いのちの音色』は、ライブや上映で訪れた様々な地域の様々な人々の声を届け、希望や平和の種をまく姿を描いています。
これまで日本全国のほとんどの都道府県でライブや上映を行わせていただき、まだ行っていないのは青森県と鹿児島県の2県となりました。といっても、資金力のない貧乏会社がやっとこさっとこの毎日の中で行っている小さな小さな活動です。一人でも二人でも…という思いの中で動いており、多くの人々に届けることはまだまだ出来ておりません。それでも、あきらることなく、当初の目的であった日本全国行脚を果たすために精一杯チャレンジ続けております。
映画の制作においては、現在膨大なデーターをまとめていく作業が続いており、思った以上に編集に時間がかかかっています。まだ完成時期を明確にお伝えすることができずにいますが、スタッフが高齢化してきていることや持病を持つ者もいる中で、体調をくずさないように配慮しながら、完成に向けて全力を尽くしてまいりたいと存じます。
これまで様々な場所でライブをさせていただきましたが、
日本最大のイスラム教寺院「東京ジャーミー」でも何度かライブさせていただき、
その後上映でもお世話になり改めて心より深く感謝申し上げます。
イベントの後、礼拝堂の撮影をさせていただいた時のことが大変印象に残っています。
ライブ後、礼拝堂を見学に行った時のことです。
「日本人がイスラム教を見る目は、おそらくくもっている。
残念ながらくもってるんです…」
という言葉に、友人の子どもが小さかった時の事が思い出されました。
若い頃に異文化コミュニケーション誌の編集長をしていた頃、日本で暮らす様々な世界の人々と触れ合う機会が多くありました。イスラム教徒の方々と触れ合う機会もよくありましたが、いつも穏やかで深い優しさを持った皆さんの心の豊かさにふれながら、お話ししているうちにとても癒されることが多くありました。
一方でメディアから伝わってくる情報は、テロに関する事件などばかりが報道されているため、これが全てだと思い込んでしまい、なんとなく怖いというイメージを持つ日本の方が増えている気がしてとても気がかりでした。
友人がイスラム教徒の男性と結婚し、女の子が生まれ、日本の公立の学校に通っていた時、友達から「テロ」とあだ名をつけられ虐められていたことを聞いた時は、胸が締め付けられる思いでした。
礼拝堂を見学していると
関係者の方がイスラム教についてお話してくださいました。
「イスラム教の集団礼拝は横一列で行われます。イスラム教が世界的な宗教になった普遍性、つまり、どの民族にもどの地域でも人々の心に訴えかけるものは何かといえば、大統領であっても、肌の色が違っても、民族が違っても、人間は神の前で平等であり、どんな人間も兄弟であるという強い思想があるということなんです。でも、日本の方々に、イスラム教のそういったメッセージが伝わっていないような気がしています…。
明治以降、日本人はヨーロッパの方だけを向いてきたので、ヨーロッパ的な価値観だけでしか見ていないように感じます。もちろん、ヨーロッパが好きでもいいんですよ。欧米に追従してもいい。ただし、地球上には、様々な文明や宗教があることをわかってもらいたい!」
ゼロの概念がインドからイスラム世界に伝えられ、現在私たちが使用している1,2,3,4・・・0,などの(アラビア数字と呼ばれる)算用数字が生み出されたことは、世界の発展に大きな貢献を果たしています。イスラムの世界から生まれたことなどについて教えていただながら、とても素敵な時間を過ごさせていただきました。無関心で知ろうとしない事が偏見を生み出すことに繋がってしまわぬよう、まずは自分自身がもっと学ばなくてはと感じました。
東京ジャーミーを2回訪問されたという元世界ヘビー級ボクシングチャンピオンのモハメッド・アリ(享年74歳)は、イスラム教に改宗し、黒人差別や人種主義に対する戦いの象徴でもありました。
ベトナム戦争で徴兵を拒否した時のモハメド・アリの言葉は有名です。
「ベトコンに何の恨みも憎しみもない。殺す理由もない。しかも、彼らは私のことを、一度も“ニガー”とは呼ばなかった」
入隊を拒否したために、ボクシングのタイトルを剥奪され、3年以上にもわたりリングに上がって戦う機会も奪われました。1967年には徴兵拒否の罪で起訴され、一審、二審では禁固5年の実刑判決も言い渡されますが、最終的には無罪を勝ち取ります。様々な代償を払いながらも、イスラム教徒として、黒人としての誇りを大切にしながら生きたモハメド・アリの姿は、多くの人々に勇気を与え続けてきたと思います。
モハメッド・アリについてやイスラム教の素晴らしさについて語ってくださったことに心より感謝申し上げます。
礼拝堂の正面の壁の左右にはチューリップが描かれていました。
チューリップはトルコの国花でもありますが、イラン、トルコ、ウズベキスタン、キルギスタンなどのあたりに多く咲いていた野の花で、4月〜5月ごろになると今でも原種のチューリップが見られるそうです。
17世期に、植物学者がチューリップをヨーロッパに持ち込むと球根に投機マネーが集まり、チューリップは人類の歴史上最初のバブルを生み出します。商売になると輸入して品種改良しながら世界に売ることに成功していったのがオランダだったそうです。
いつの日かライブと上映で
原産地の野に咲くチューリップと会える日を夢見ながら、
まだまだ続くドキュメンタリー映画「いのちの音色」制作に集中してまいります。
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