8月21日、大分での最後のライブの前に、伊藤慶典さんが私たちを熊本の「風の丘 阿蘇 大野勝彦美術館」に連れて行ってくださいました。
「人生は邂逅である」(亀井勝一郎氏)
阿蘇へと向かう車中、伊藤慶典さんが学生時代に読んだ本の言葉についてお話くださいました。
恥ずかしながら「邂逅」という言葉を初めて聞いて、
スマホで急いで意味を調べていると
「あなたたちもまさにそういう人生を歩んでますよね」と伊藤さん。
伊藤さんとお話ししながらの阿蘇までの道のりはとても楽しく、いろんな気づきをいただきました。
風の丘 阿蘇
大野勝彦美術館に到着!
伊藤慶典さんが大野勝彦さんをご紹介くださり、
美術館を鑑賞させていただいた後、
大野さんとお話するお時間をいただきました。
大野さんは、1944年生まれで、現在78歳。
45歳の時、農作業中に不慮の事故で両手を失いました。
肥料を散布するトラクターにエンジンをかけて洗っていた時のことです。
ついていたゴミを取ろうとして指でつまんだ瞬間、
機械の中に右手が引き込まれ…なんとか右手を引き抜こうとすると左手も巻き込まれ…
体全部が機械に巻き込まれてしまえば命はありません。
体を後ろに反らせ、両腕を切断することで自らの命を守る選択しかありませんでした。
言葉にならない痛みの中、
入院3日目に大野さんは医師に頼んでギブスを外してもらい
包帯に包帯の上から筆をくくりつけ、
湧き出る想いを詩に託して書き始めます。
2ヶ月後には、水墨画で表現し始めていました。
それまで全く絵を描いたことのなかった大野さんは、
45歳から、詩人・画家としての人生を歩み始めます。
その後、数々の賞を受賞し、詩画集を発表しながら、
2004年、阿蘇長陽村(現南阿蘇村)に「風の丘 阿蘇 大野勝彦美術館」を開館。
2016年の熊本地震で壊滅的な被害を受けながらも、
翌年2017年4月に復興し再開を果たしました。
大野さんの今の夢は、
「もう一度行ってみたいと思ってもらえる
日本一の美術館にすること!」です。
美術館へと続く道につる薔薇を育て、
大野さんの机の周囲には
かわいい小鳥たちが遊んでいます。
美術館の2階に広がるベランダには
風の丘の御神木、欅の木が木陰をつくっています。
その木の間から見える夕陽に
大野さんは特別の想いを感じながら
今日も風の丘を眺め、絵を描き、
心に浮かぶ言葉を添えながら
夢に向かって歩んでおられます。
大野勝彦さんの描く
絵と詩の世界は、
まるで音楽のインプロビゼーションのようです。
その人を見て、
インスピレーションで浮かぶ文字を
そのまま書かれるのだそうです。
腕を大空に向かって
大きく両腕を広げ
最後まで見送ってくださった大野勝彦さん。
また必ず、
お会いできる日を
心より楽しみにしています。
人生とは邂逅なり!
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