
本日は故・北岡和義さんのお誕生日。
ジャーナリストとして27年間を過ごしたロサンゼルスの北岡さんのご友人らが企画され、10月19日にご逝去された北岡さんを偲びながら、80歳のお誕生を祝うZoomオンライン開催されました。ロスの鶴亀彰さま、東繁春さまをはじめ皆様に心より感謝申し上げます。
北岡さんの大親友の鶴亀彰さまが、北岡さんの最後の様子を伝えてくださいました。
北岡さんは、10月19日の手術に向けて病院へ向かう途中、
「いろいろ大変だったね。ありがとう」と奥様に言葉をかけたそうです。
これまで一度もそんな言葉を言ったことがなかったので、奥様はとても驚かれ、覚悟しなければいけないと思われたそうですが、北岡さんご自身はきっと最後までまだまだ生きていくつもりでだったろうと語っておられました。
北岡さんがロサンゼルスで暮らしていた頃、私はご自宅にホームステイさせていただいたことがあり、その時に奥様にも大変お世話になりました。改めて感謝の思いでいっぱいです。
今から35年前の1986年、アラスカの州都ジュノーで、北岡さん初めて出会いました。
当時、私は日米協力の草の根ボランティア「ネバー・アゲイン・キャンペーン」民間大使としてアメリカを訪れ、主に小・中・高校の歴史の授業などで日本文化紹介と共に原爆映画上映会を行い、ヒロシマ・ナガサキの被爆者のメッセージを伝えていました。その時に、北岡さんがロサンゼルスから、テレビクルーの皆さんと一緒に撮影に来てくださり、2本のドキュメンタリー番組をつくってロスで放映してくださいました。
アラスカ・オレゴン・ネバダ・オハイオ・ニューヨークなどで、1年間に約280箇所でプレゼンテーションさせていただき、帰国する前にロサンゼルスの北岡さんのご自宅でお世話になったことが思い出され、今日は涙が止まりませんでした。
帰国後、私は異文化間コミュニケーションをテーマに雑誌の編集や発行を行ってきましたが、北岡さんに毎月コラムを書いていただいていました。
北岡さんは1979年に渡米され2006年にロスから帰国された後、日本大学国際関係学部特任教授をされていました。
2010年秋には、核なき世界の実現に向けてワシントンの(財)カーネギー地球物理学研究所のお庭に、広島平和記念公園の被爆アオギリの種から育った被爆アオギリ2世の植樹とライブを行いました。北岡さんが日大で教授をされていた頃に、授業の中で、その時のことなどをお話ししながら教室でライブをしたことも忘れられない思い出です。
そうした活動の中から、被爆者の想いを伝える映画『アオギリにたくして』が生まれました。映画をつくるにあたり北岡さんにご相談したところ、映像の世界の厳しさを熱く語ってくださいました。大変だから絶対にやめたほうがいいと、ものすごく反対されたのを今もよく覚えています。
初の映画制作だったこともあり、まさに北岡さんがおっしゃった通りで、とても大変な現場となりました。思うような仕上がりとはならず、ほぼ撮り終えた後、納得がいかず、もう一度撮り直しをするかどうか迷った時、スタッフと共に熱海の北岡さんのご自宅に伺い、あら編集を見ていただきながらアドバイスを受けて作り直すことを決意しました。
2013年夏に無事完成し、劇場公開された後、日本全国自主上映に向けて必死になっていた我々をいつも応援くださり、自ら上映会の企画もしてくださいました。2016年には米国ワシントンとボストンなどで海外初初上映を終え、次は是非ロサンゼルスでの上映を!と北岡さんがおっしゃってくださっていた時、共に映画をつくり上映活動を展開してきた弊社の音楽監督で制作・プロデューサーのしげ兄(伊藤)が2017年に癌で緊急入院し、同じ年の暮れに北岡さんが肝臓がん癌となり、余命3カ月から6カ月の宣告を受けました。
私たちはお金も力も何もないけれど、お世話になってきた北岡さんのために何かできる事はないかと考えました。「がんを知る事は人間を知る事なんだ。死ぬまで俺は生きている」と語りながら、我々の前ではどんな時も辛さを見せなかった北岡さん。最後までジャーナリスト魂を貫いて生きようとする北岡さんの覚悟を感じる中で、私たちは北岡さんに、がんと共に生きる北岡さんご自身を語る企画の提案をしました。
新宿の友人のインドカレーレストランを借り切って、2019年1月18日と4月18日の2回に渡り「がんと共生する平和学」と題して北岡さんのトークライブを開催し、北岡さんに語っていただきました。

ロサンゼルスやニューヨーク・カナダや日本各地からのご皆様と共に、北岡さんの80歳のお誕生日を共に祝いながら、2017年の弊社のしげ兄(伊藤)と同じ年にがんの告知をされてから今日までの二人の姿が思い出され、涙が止まらない1日でした。
この夏、肝臓ガンと高齢と新型コロナウイルスに加えて猛暑という4重苦に見舞われ、マンションの部屋に隠れるように生きてきた。その間、筋力が衰え自分を支える力も失っていた。でもぼくは生きている。死ぬまで生きる。一生懸命に生きる。それが人生というものだ。
上記は、編集中の弊社の冊子MUSE VOICEに北岡さんがご執筆くださった文章の中の言葉です。
今回の掲載が、北岡さんにお願いした最後の原稿になってしまいました。
ご依頼した文字数の3倍以上にもなる文字量の原稿を受け取り、そこには北岡さんのこれまでの人生が書かれていました。北岡さんの文章のままにレイアウトを組んでいただき、そのまま掲載させていただきたく思っています。
振り返れば、北岡さんと出会った35年前、被爆者のメッセージをアメリカで伝え歩いた1年間の体験の中で考えたこと、感じたことは、私の人生の原点です。
その原点を知る北岡さんが、折に触れて励ましの言葉をかけてくださったことで、本当に大切だと思うことを大切にしながら、今日までぶれることなく生きてこれたように思います。
北岡さんはじめ、これまで応援してくださった全ての皆さまへの感謝を忘れることなく生きていきたいと、こみ上げてくる涙を吹きながら、そう強く思います。
最後まで、北岡さんが熱く語られていた平和への想い、北岡さんがアオギリに託してくださった想いを忘れることなく、これからも自分たちにできる平和の種まきを続けてまいります。
一生懸命に、私も生きていきます。
YouTube
北岡さん激励会にて
▶︎ https://youtu.be/2mhJGd0Cq8o
80歳のお誕生日に 北岡さんを偲んで…
▶︎ https://youtu.be/hVAk-fVX084
北岡さんと砂川の被爆アオギリ2世
▶︎ https://youtu.be/ynPQJXctHw4
北岡さんとアラスカ撮影の思い出
▶︎https://youtu.be/CPs8wqhSZ1k
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