2017年に『かけはし』が完成したことをお知らせした時、弊社ミューズの里の第2作目の作品が『かけはし』であったことを石川さんがとても喜んでくださいました。前作同様に小さな小さな映画で、大変な上映活動を覚悟した上での第2作目への挑戦。あの時、石川様のお言葉にどれ程たくさんの勇気をいただいたことでしょう。
石川晶子さんは、初プロデュース映画『アオギリにたくして』が誕生する原点となる草の根ボランティア活動「ネバー・アゲイン・キャンペーン(通称NAC)」の民間大使としても渡米されています。NACは、アメリカの平和学者レイスロップ教授ご夫妻と教師の北浦葉子さんが手弁当で立ち上げたボランティア活動です。日本人が自費で単身渡米し、アメリカの家庭にホームステイさせていただきながら学校や教会で、日本文化の紹介と共にヒロシマ・ナガサキの被爆者のメッセージを伝え、原爆映画を上映する民間外交プロジェクトです。
NACは、すでに活動を終えていますが、私も33年前の22歳の時、NACの民間大使第1期生として渡米させていただきました。約一年間アラスカ・オレゴン・カリフォルニア・ネバダ・オハイオ・ニューヨークなどの学校や教会 280箇所で約1年間に渡り、プレゼンテーションを行わせていただきました。
原爆を落とされた国に生まれた自分が、原爆を落とした国に行って、ヒロシマ・ナガサキの被爆者のメッセージを伝える体験の中で、様々なことを学び感じながら、複雑な歴史を持つ国の人同士が繋がり合うことの難しさや喜び、大切さを知りました。
帰国後は、異文化間コミュニケーションをテーマに雑誌の発行や異文化交流プロジェクトの企画・運営をしてきましたが、コーディネートしていた日本語学校語学留学生の祭典の参加校に、JR新大久保駅での事故で亡くなった韓国人留学生のイ スヒョン(李秀賢)さんが通っていました。
来年2020年の1月26日の命日で、JR新大久保駅での事故から19年を迎えようとしています。
「スヒョンさんが私たちの心に遺したものはなんだろう?」という自問自答をしながら『かけはし』を企画・製作する中で、スヒョンさんのご両親が、どんな状況にある時も変わらずに留学生支援を行い、日韓友好を願いながら民間交流を続けてきた姿から、人として忘れてはいけない大切なものを学ばせていただきました。そして、これまで出会った世界の人々やや日韓の若者たちから、国を超えた人と人の絆は平和の礎となり、誰もが懸け橋となり得るかけがいのない存在なのだと強く感じています。
今、日韓関係は、戦後最悪の状況にあると言われていますが、映画製作と上映を通して、違いを超えて相互理解を深めようとするたくさんの人々の姿に希望を感じます。
憎しみの連鎖を次世代に残さないために、どうすべきか?
その答えは、「スヒョンさんが私たちの心に遺したものはなんだろう?」とも繋がり、
その問いを、自分自身に問いかけ続けながら、上映活動と共に、2021年公開予定の『かけはし』第3章の製作に取り組んでまいります。
同じ悲しみや苦しみを繰り返すことのないように、過去を見つめ、過去から学び、より心豊かな関係を築き、よりよい未来を次世代にのこしていくために…。
小さな映画ではありますが、日本全国・韓国での上映も目指して、スタッフ一同全力を尽くます。
皆様のご支援・ご協力を、何卒よろしくお願い申しあげます。
ドキュメンタリー映画『かけはし』公式HP
➡️http://kakehashi-movie.net
【福岡・福岡市】11/23(土・祝)西南学院大学博物館2階講堂にて上映!
ご出演くださったスヒョンさんのお母様の辛潤賛(シン・ユンチャン)さんとスヒョンさんが通っていた日本語学校の新井時賛理事長が来場されます。
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