2016年08月27日

30年ぶりの映画『ホピの予言』

「ホピ」は、アメリカ先住民のホピ族のことで、「ホピ」は「平和」という意味です。

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映画「ホピの予言」は、1986年に製作された作品で、その1986年という年は、私がアメリカにヒロシマ・ナガサキの被爆者のメッセージを届けに行った年でもあります。


それは、アメリカに行く前だったのか、帰ってきてからのことだったかはよく覚えていませんが、たぶん私は原宿で観たような記憶があります。とにかく30年ほど前に、いろんなところで自主上映されていたと記憶するのがこの「ホピの予言」という映画です。


あれから30年たっているとはびっくりですが、この「ホピの予言」という映画のDVDを、先日「アオギリにたくして」上映会と「いのちの音色」ライヴでお世話になった島根県の「雲南アオギリ会」の三瓶裕美さんが持っておられ、借してくださり、本日東京のオフィスで30年ぶりに観ました。


偉大なる精霊からの教えを2000年以上に渡って部族の間で語り継いできたホピは、広島と長崎の原爆投下を、ホピの予言の中に伝わる「灰のびっしりつまったヒョウタン」と解釈し、予言が語る人類への警告を世界に発信し始めます。ホピのいう平和は、母なる大地に生きる全ての生命との調和にあり、それはアメリカ先住民に共通する世界観でもあります。


映画「ホピの予言」の中に、お母さんのお腹の中にいた時に原爆にあい、小頭症として生まれた畠中百合子さんと今は亡きお父さんの国三さんが登場しています。


散髪屋さんをされていた畠中国三さんのお家に、百合子さんに会いに伺ったのは、私が22才の時。1986年の夏のことでした。

その時にお伺いしたお話を、今でも、歌と語りで伝える「いのちの音色」120分ライブの中で、ギタリストの伊藤茂利が朗読させていただいています。畠中国三さんと百合子さんの姿を「ホピの予言」の中で、30年ぶりに拝見させていただきながら、あの頃の記憶が蘇りました。


アメリカの学校や教会などで、日本文化の紹介と共に10フィート運動で生まれた原爆映画「にんげんをかえせ」の上映ボランティアをしていた私は、ホームステイ先の牧師さんにすすめられ、1987年の母の日に行われたネバダ核実験場でのデモの取材に向かいました。ネバダでの核実験による近隣の住民の健康被害が重大な問題となっており、3000人を超えるお母さんや祖父母、ネイティブインディアンの方々が核実験反対を訴えていました。


非暴力の訓練が事前に行われ、放射能による危険区域と書かれたエリアに有刺鉄線を乗り越えて、核実験場へとゆっくりと歩いていくお母さんやお父さん、おじいちゃんやおばあちゃん。危険区域に入り込み、逮捕され、手錠をかけられた両腕を上に掲げ、歌いながら踊りながら微笑みながら、子供を守るために逮捕されていく人々。一眼レフのシャッターを切りながら、頬を伝わる涙が止まらなかったあの日‥‥。



その後、ネバダの砂漠にテントを張り、ピースキャンプが開かれました。ネバダ核実験場の前にラスベガスから燃料を運び、原爆映画「にんげんをかえせ」の上映をさせていただきました。その映像を観て強い衝撃を受けた人々の表情を今も忘れることが出来ません。ウランの採掘の段階から核被害を受け続け、核実験によっても兵士や近隣の住民に核被害が及んでいる中で、実際に原爆が人間の上に投下されたヒロシマ・ナガサキの実情を前に「にんげんをかえせ」を観た人々は言葉を失っていました。



核実験場で働いている人々の立場も考えて、他の就職先を紹介するボードを持って抗議する人々。「アイ・ラブ・ユー」のサインを掲げて核実験反対を訴える人々。核兵器製造のための材料を積んだトラックに向かって人間の鎖をつくって止めようとした人々‥‥。



大手マスコミが伝える情報には限界があり、あの時、ネバダの核実験場にテントを張って反対を訴えていた人々や、有刺鉄線を乗り越えて歌い踊りながら逮捕されていった500人以上の人々、千羽鶴を折って原爆養護ホームに届けてくれた子供たち、8月6日に路上に立ち「原爆反対」を訴えていた人々のことが日本の大手ニュースで伝わることはありません。



しかし、帰国した後、スミソニアン博物館の原爆展中止の情報が伝えられた時も、そのニュースを見ながら私が思い出すのは、30年前に会った平和を愛する人々の姿でした。


どの国にも、恐れに操られることなく、平和を愛する人々がいて、本当の平和の意味を知る人がいる。



たとえ、すべての期待が消えたとしても、暗闇の先に見える光を信じ、たとえどんな痛みの中にあろうとも、揺るぎない確かな思いを持ち続けていけるのは、国籍・民族・世代など様々な違いを超えて、平和を心から願うたくさんの人々の魂に触れる出会いをいただいたからだと思います。



これまでの30年を振り返りながら、改めて次の30年に向かってどう生きていくかに思いを馳せながら‥‥平和を愛する世界の人々への感謝を胸に、今日は眠りにつきたいと思います。



「ホピの予言」は、あれから30年経った今も、しっかりと大切なメッセージを投げかけてくれる作品です。機会あれば是非ご覧になってください〜♪
posted by ぷらっとハッピー日記 at 00:30| 東京 ☀| ヒロシマ・ナガサキ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする