日本に帰国し、2週間留守にしていたので、しばらくは山済みとなった仕事に追われていましたが、ようやく少し落ち着きました。
アメリカ上映に出る前に、国内で暮らす外国人や留学生に映画を観ていただく機会をいただいていたので、ある程度の手応えは予測していましたが、思った以上の反響をいただきました。
きっとそれだけ、被爆者の方々が原爆投下後にどんな思いで生きたかを想像力を持って考えてみる機会がなく、被爆者の方々の実情が知られていないのだと改めて感じました。
アメリカでの上映中に、オバマ大統領の広島平和記念公園でのスピーチの際にも出席されていた被爆者の岩佐幹三さんが、石川県金沢での「アオギリにたくして」上映の際に語っておられた「被爆者という人間はいない」という言葉が何度も思い出されました。
この世の中に、被爆者という特殊な人間はいない。ふつうの人間が、戦争、原爆の被害にあって、被爆者という運命を背負わされた。そして、私たちも、もしかしたら明日は被爆者になるかもしれない。
No more Hiroshima, No more Nagasaki, No more Hibakusya,
No more war!
被爆者の方々の心の叫びに耳を傾向け、核なき世界の実現に向けて、現実的に進まない現状への批判や評論だけではなく、「自分に出来ることは何か?」を一人一人が考えていくことが大切だと思います。
この度のアメリカ上映では、いろいろなコメントをいただきましたが、上映後にいただいたコメントの中で、私にとって一番心にしみたのは、「なぜ被爆者は、こんなにも自分が辛く苦しい体験をしながら、平和を願い、平和への貢献を果たそうとすることが出来るのでしょうか」というものでした。
まさに、その部分を深く感じとっていただけたなら、そこから平和が始まっていくと感じました。
被爆者の方々の「世界中の誰にも自分と同じ苦しみをさせたくない」という思いは、生き地獄の中を生きた被爆者の方々が、絶望の果てに見た心の叫びであり、祈りなのだと思います。
世界を見渡せば、憎しみの連鎖によるテロが広がりつつある中で、
「憎しみではなく、愛の連鎖を生み出せる人になってください」と語っていた「アオギリにたくして」のモデルとなった故沼田鈴子さんの言葉が何度も思い出されます。
本当は忘れてしまいたい、二度と思い出したくない辛い体験を、世界の平和と地球の未来のために語り継ぎ、愛の連鎖を生み出すことの大切さを教えてくださった被爆者の方々のメッセージこそ、今日本が世界に伝えていくべき大切なメッセージだと思います。
ヒロシマ・ナガサキの実情はまだまだ知られておらず、それはアメリカや海外だけの話ではなく、悲しいかな日本でも同じ状況なのかもしれません。私自身もそうであったように‥‥。
地道で小さな一歩一歩ではありますが、これからも国内・海外共に命の尊さと平和を愛する心の大切さを伝え、人々の心に平和の種を蒔くことのできる上映&ライブ行脚を続けていきたいと思います。
まずは、これからはじまる日本国内の夏の上映&ライブに向けて全力投球します。次回のアメリカ上映に向けて準備を進めながら、来年春には渡米し上映活動を再開していく予定です。
日本国内1000回上映、アメリカ100回上映&ライブをまずは目指し、その他の国々にも上映&ライブの輪を広げていきたいと思います。
改めて、映画「アオギリにたくして」のアメリカ上映にご支援・ご協力くださった皆様、応援してくださっている皆様に心より感謝申し上げます。今後ともよろしくお願い申しあげます。
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