友人の死は、まだ自分の中で消化しきれていないものがあります。ただ1つ、確実に言えることは、想像を絶したであろう全身を襲う痛みの中にあった時も、その痛みを受け入れながら、死に向かって生きるのではなく、生きようとしていた事。
「残された人生の使命を全うします」という携帯メールの言葉の最後についていた真っ赤な大きなハートマーク。
「二年間の全細胞の取替え期間を経て、春になったら元気になって、本当に自分が歌いたい真の歌を今度こそ歌える自分になります」と書かれていました。
生きる希望を持ち続けていた彼女の姿は、病魔が蝕む彼女の体を周囲で見守る人々にも希望の光を与え続けていたのではないかと思います。
がまんでも怒りでもなく、癒された心で、本当に人々の心を癒す歌をうたいたいと願っていた亡き友人にとって、まさに歌うことは生きることで、生きることは歌うことであったのだと思います。さまざまな迷いや不安の中で、本当に歌いたい自分の歌の世界を求めて生きてきた彼女ですが、彼女の姿は、その生き様を通して、生きることの意味を示していたように思います。
彼女が歌いたい歌を歌う環境がなかなか整わないまま、あんなにすてきな歌声を持ちながらも、本当に歌を愛し、人間の声の持つ可能性にこだわりを持ち続けていたからこそ、歌わずにいる事を選んでいた時期もありました。
今は、天国で本当に好きだった歌を、自由に伸びやかに心ゆくまま歌っている、そんな彼女の美しい姿が目に浮かびます。
彼女の死が、私の中でまだ消化しきれないのは、私自身がまだまだ、生き様を通した強い意思を意識化できていないからなのかもしれません。
生涯私の心の中で彼女は生き続けています。
亡き友人の冥福を心から祈っています。
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